こんにちは、なるラボの「ちゃだこ」です。
3月7日になるテックは、秋田県湯沢市にある精密機器部品メーカー「Orbray(オーブレー)株式会社」(本社:東京都足立区新田)の工場を見学させていただきました。
Orbray株式会社は、2026年に本社を東京から秋田県湯沢市に移転予定。
2021年に社長へ就任した代表取締役社長の並木里也子(なみき・りやこ)さんは、プライベートでは三児の母を務めています。
かつてはスノーボード選手としてワールドカップに参戦し、アスリートとして世界で活躍されていた実績もある多才な方です。
2月8日に秋田市で開催された東北ニュービジネス協議会(TNB)講演会で並木社長が公演をされており、そこで初めてお会いしました。
お話の中で「湯沢市の工場にもぜひ!」とお声がけいただき、今回の見学が実現しました。
工場見学だけでなくディスカッションのお時間もいただきましたので、合わせて様子をレポートします。
「本社を東京都から秋田県湯沢市に移す理由とは?」
「並木社長の会社への想いと今後の展望は?」
気になる方はぜひ最後まで読んでくださいね!
「切る、削る、磨く」匠の技を極めたものづくり企業「Orbray株式会社」
Orbray株式会社は、創業(1939年)以来追求する「切る、削る、磨く」匠の技を極めたものづくり企業です。
参照:https://orbray.com/
高速大容量通信、半導体、ロボット、精密機器、医療理化学の多種多様な分野で事業を展開し、国内だけでなくアジア・欧米市場を含めた世界へ供給しています。
主な取り扱い製品としては精密宝石部品、光通信部品、DCコアレスモーター、医療機器があります。
精密宝石部品*:宝石素材をはじめとした「硬い」素材を他社に真似のできないレベルで精密に加工し、医療・半導体など最先端分野のキーパーツとして提供。
※ダイヤモンド・サファイア・ルビーなどの宝石の結晶特性を活かした製品
引用:https://orbray.com/product/jewel/material/diamond.html
光通信部品*:DX時代の通信インフラをOrbrayの「高速光通信デバイス」が支えている。
※光工学(ひかりこうがく)。光の応用や研究のこと
DCコアレスモーター*:世界最小の超小型モーターを開発した技術力で、全世界の医療機器、光学機器、産業機器、小型ロボットといった様々なアプリケーションに貢献。
※ ロータ(回転子)にコア(鉄心)が無く、コイルだけをカップ状に巻いたタイプのモータ
引用:https://orbray.com/product/dccorelessmotor/
社員1人1人がオーダーメイドの技術力、生産力、想像力を追求し、日本のものづくりを推進しています。
そして、2026年には本社を移転する予定です。
新本社及び新工場では、社員寮の建設や女性社員の活躍推進の取り組みを実施するなど魅力ある職場づくりに力を入れ、地域に親しまれ愛される企業づくりを進めています。
工場見学~時計製造、レコード針製造~
それではさっそく、工場見学の様子をレポートします!
今回は、時計とレコード針の製造工程を見学させていただきます。施設に入ると、皆様とても暖かい雰囲気で出迎えてくださりました。
大きな機械が荒々しく置いてあるような雰囲気は一切なく、施設内は綺麗で清潔感があり、工場というよりオフィスに近いような印象です。
時計製造
引用:https://orbray.com/product/jewel/product/ceramic-watch.html
まず見学させていただいたのは、時計製造のための各工程。
時計はオートメーション化*できないオーダーメイドの部分が多いため、ほとんどの工程が手作業で行われています。
※機械・機器などが人の手を使うことなくコントロール・動作などを行うこと
時計製造は、一般的にはチタンやステンレスで作られますが、Orbrayではセラミックを素材として使用しています。
セラミックを使用するメリットは主に以下4点です。
・デザイン性・質感
・錆びない
・人体への悪影響が少ない
・硬く、キズに強い
また、ガラス部分はサファイアガラスを使用しており、通常のガラスよりは硬く、高度な加工技術が要求されます。
特に印象的だった部分として、研磨の最終工程では、「マイスター」と呼ばれているベテランの方が、ひとつずつ手作業で時計を磨いておりました。
一朝一夕では身につかない、20〜30年かけて習得する技術のため「非常に重要な人材だ」とお話されていました。
Orbrayで製造される時計は海外でも注目度が高く、こちらで製造された製品を時計の本場スイスの工場に納品する場合もあります。
レコード針製造
次に訪れたのは、レコード針の製造。
レコードのアームの先についている小さなダイヤのチップは、天然の正八角形のダイヤを板状にし、それを更にレーザーで角柱状に加工していきます。
針の種類は、以下4種類です。
・丸針
・楕円針
・シバタ針
・マイクロリッジ針(Orbray専用技術)
針の大きさは0.1ミリほどで、針ごとに音が拾う周波数が変わってくるため、時計製造と同じくレコード針製造もほとんどの工程が手作業。
工場見学全体を通しての印象として、想像以上にほとんどの工程が手作業で行われており、Orbrayさんが長年積み重ねてきた人材による技術力もうかがい知ることができました。
また、作業をされている社員の方々の中には若い女性の姿も目立ち、女性社員の活躍を推進している社風を肌で感じました。
Orbray社員の皆様とのディスカッション
工場見学が終わったあとは、Orbrayさんのカフェスペースを利用させていただき、ラウンドテーブル型でのディスカッションを行いました。
今回のディスカッションは、Orbray社員と弊社社員が混合したグループに分かれ、各テーブルで意見を出し合うという形式です。
「こうなるといいな、これがあると嬉しいな」と思うことについて、以下、3つのテーマについて話し合いました。
1,子育てしながら働く(チーム育児)
2,会社の精度や福利厚生(会社制度)
3,秋田で働く良さ楽しさ(秋田の魅力)
なるテックは県外出身メンバーが多いのに比べ、Orbrayさんは比較的県内出身の方が多いようでした。
そのため、県外出身と県内出身、東成瀬村と湯沢または横手といった、それぞれ違った立場からの意見交換ができました。
オフィスからスキー場まで15分で行けると東成瀬村で働く楽しさを語るメンバーや、会社の福利厚生として帰省手当を願う県外出身のメンバーに、Orbray社員の皆様もとても興味をもっている様子でした。
弊社社員は10分間隔で隣のテーブルへ移動していたため、複数の社員さんと交流ができてとても良い機会になりました。
「Orbray」代表 並木社長の想いや今後の展望
Orbray代表挨拶やランチの際の意見交換では、並木社長の想いを伺うことができました。
並木社長は「ものづくりはひとづくり」という考え方を重視しており、「各社員がそれぞれの技術と個性に磨きをかけ、ダイヤモンドのように輝いてもらいたい」と素敵な考えを持っていらっしゃいます。
そんな中、秋田県湯沢市への本社移転を決意。
背景には、秋田県の人口減少と若者や女性の人口流出問題がありました。
並木社長は本社を秋田県へ移転させることで、地域創生を通じて県内の優秀な若者や女性が帰って来たいと思える場所作りに貢献したいと考えています。
国内では秋田県(湯沢市)の工場を中心に製造販売していたため、並木社長も秋田県湯沢市をよく訪れていました。
秋田県の工場へ足を運ぶなかで安全な土地と食べ物や豊かな自然環境に気づき、秋田県への魅力を日増しに感じるようになります。
秋田県の魅力の高さと、今後より地域への貢献活動に取り組むために、並木社長は秋田県へ移住予定です。
秋田県全体を良くしていきたいという熱意が強く、30分ほどの意見交換の中でも沢山のアイデアを出されていました。
「同じ場所にいると飽きてしまうという課題を感じさせない魅力作りが大切。そこには様々な知見が重要であるため、海外を飛び回り自身で見てきた経験からアイデアを実現していく。」と、今後の展望を語っていました。
技術・製品を世界に発信し続けるOrbray株式会社
今回はOrbrayさんの工場内を見学させていただきましたが、並木社長の決断力と実行力には、心を動かされるばかりでした。
そんな並木社長も、東成瀬村村長である備前村長の決断力には感動されたそうで、東成瀬村とは様々な取り組みをしていきたいと嬉しいお言葉もいただきました。
三児の母と社長業を両立する並木社長と交流できた経験は、女性メンバーをはじめ全員の大きな学びとなったことでしょう。
日本のものづくりの担い手として、世界に技術・製品を発信し、未来に向けて紡いでいくことを目指すOrbrayさんの取り組みは大変魅力的に感じました。
私たちなるテックも、日々挑戦を続けていき、東成瀬村そして秋田全体をより盛り上げていけるよう邁進してまいります。
Orbrayのブログでも今回の工場見学について紹介していますのでこちらからぜひご覧ください♪
この記事を書いた人
- 愛知県から秋田県の東成瀬村に移住して来た「ちゃだこ」です。これまでは、パン職人と施工管理士を経験しており、現在はWebライターとして日々学んでおります。誰かの幸せのきっかけになれる素敵な記事をお届けしていきます!
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